テキストサイズ

今日も明日も

第56章 Perfect Story


初めてかずの指先を見た時は、あまりにギリギリまで短くしていて驚いたっけ

“昔からの癖だよ“ って笑ってたけど、その柔らかい手にはそれが妙に似合ってた

そして一緒に過ごすうちに、俺まで短く切るようになったんだ

一度だけ、かずの肌を傷付けてしまってから、二度とそんな事はしないと言う誓いも込めて



「ごめん…、背中痛い?」

ふっ、としがみついたかずの指の力が抜けた

「え…」

「おもいっきりしがみついちゃったから」

眉尻を下げて俺を見つめる

「全然。気にしないでいいよ」

だって本当に痛くなんかない
むしろ気持ちいいんだって実感出来て嬉しい


かずの顔を下から見上げ、目を合わせながら胸の先端を指で捏ねてやると

「や…、それ…っ、やめ…!」

言ってる傍からまたぎゅっとしがみつくくせに

「いや?…なら、止める?」

そんな筈ないのを知りながらわざと指を離した

なんだろ
ちょっとだけ意地悪な気分

「ぁ…っ、なん、で…」

「だって嫌って言ってたから」

醒めたとは言え、まだアルコールは残ってる

…かずの目が潤み出した

ストーリーメニュー

TOPTOPへ