今日も明日も
第57章 見えない鎖 part Ⅰ
いつもはまず通らない山道
外灯なんてものはなく、暗闇の中鬱蒼と茂る木々ははっきり言って気持ち悪い以外の何モノでもない
やっぱり通らなきゃ良かった
それでなくても今は1人で
ついでに言えば怖がりのくせに
渋滞回避なんて思い付いたのがいけなかった
文明の利器のナビなんか、付けなきゃ良かった
こんなのがあるから、知らない道を躊躇なく入ってしまうんだ
せめてもの紛らわしに、爆音でCDを流しながら
知らない道を走るのは
…やっぱり怖い
ひたすら登ってた道が下り始めて、漸く山の頂上を越えた事に安堵した
下りきれば外灯の多い幹線道路に戻れる
そう思って少しだけホッとしたその時
「ひぇ…っ!」
思わず急ブレーキを踏んだ
何かが木の間に倒れているのが視界に入ってしまった
怖いのに
見たくなんかないのに
どうしても見ずにはいられない俺は、馬鹿なんだと思う
窓は開けずに、車の中からその “何か“ を窺い見ると
ー…人形?
にしては何か違和感がある
けれどピクリとも動かないそれに
ー…まさか、死体?!
思わず怖い考えが浮かんでしまった