今日も明日も
第57章 見えない鎖 part Ⅰ
いやいや、サスペンスドラマじゃあるまいし
そんなご都合主義みたいに死体が転がってるわけない
…そうは思っても、目にしてしまった以上それが何かを確かめないと
きっと帰ってからもモヤモヤするに決まってる
“恐がりのくせに好奇心旺盛“
友達が俺に必ず言う代名詞は、嘘じゃない
すぐに車を出せるようにエンジンは切らず
怖くないようにライトも点けておく
「…よしっ」
自分で自分に気合いを入れて、俺は車から降りると
横たわるその “ヒトモドキ“ を確かめるべく、そろりそろりと近付いて行った
ああでもやっぱり怖い
本当に死体だったらどうしよう
放置して逃げちゃう?
いやいやそれはまずいだろ
…なんて葛藤しながら、そのモドキを上から覗き込んだ
人形じゃない
間違いなく人間だ
何でこんな場所に?
微かに上下してる肩で生存も確認
ここまで分かれば俺にも多少余裕も出来た
声を掛ける前にじっくりと様子を観察する
性別は、男
年齢は…若いな。多分俺より下っぽい
痛々しい傷があるけど、なかなか綺麗な顔立ちをしてる