今日も明日も
第57章 見えない鎖 part Ⅰ
待てよ?
彼を連れて帰るのは構わないけど
考えてみたら家には何もない
…とりあえずは風邪薬か解熱剤、後は傷の手当てグッズを買えば間に合うかな?
念の為に冷えピタと湿布も買っとくか
傷があると言う事は捻挫とか打ち身もあるかもしれない
そこまで考えてから
…そう言えば、誰かの為に何かをするなんて
初めてかもしれないな
信号で止まる度に、隣で苦しそうにしている名前も知らない彼を
俺は何とも不思議な気分で見つめていた
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アパートに着いて、まずは彼をベッドに寝かせた
明るい所で改めて彼を見て、思わず息を飲む
薄いシャツから覗く腕の傷は無数にあった
まさかと思って、そっとそれを捲ってみたら
…やはりと言うか上半身も痣や傷がある
「……んぅっ」
また、彼が呻き声を上げた
今度は瞼がギュッと動いて、首も少しだけど横に振られている
もしかして気が付いた?
驚かさないように、額に当てた濡れタオルを交換して
俺は少し離れた所から彼の様子を見つめる事にした