今日も明日も
第58章 見えない鎖 part Ⅱ
まだ熱にうかされてる?
かずくんはひたすら握られてる手を見つめるだけで、時折 “あったかい…“ と呟いている
だけど呼吸の荒さは変わらない
握ってる手も熱いままで
どっちの手が熱いのか分からないのに
もう一度熱を測ろうかとその手を離した瞬間
「え…、ちょ…っ」
かずくんの目から突然涙が溢れだした
たかが手を離しただけで?
そんなに寂しく感じるの?
「やっぱり……」
「かずくん?」
「まーくんも、俺を…捨てるの?」
「何言って…」
捨てる?
誰が誰を?
そもそも捨てるって何だよ
まーくん “も“ って言ったよね
もしかして、かずくんは誰かに “捨てられた“ 経験があるの?
だとしても、俺は捨てたりなんかしない
そんな無責任な事、俺には出来ない
せめてここにいる間は安心して欲しい
不安になんか、させたくない
だけどどうしたらそれを信じて貰える?
「捨てたりなんかしない…」
体温計を取るのを止めて、再びかずくんの手を握り締める
「だから、安心してよ」
…今の俺にはそれしか言葉が見つからなかった