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今日も明日も

第58章 見えない鎖 part Ⅱ


それが何故なのか

もしかしたらあの山の中にいた事も何か関係するのかも知れない

だけどそれを知った処で俺に何が出来るんだろう

ただの興味本位になるんじゃないのか

そう考えると何一つ動けないけど
…かずくんをこれ以上傷付けたくない

なら俺は、とことんまでかずくんに付き合ってみるのもいいかもしれない

幸い?にも俺は1人だし
誰に遠慮するような事もない






膝を抱え、窓の傍に座って外を見つめているかずくん

起きている時間の殆どをこの場所で過ごす彼は、何を思ってるんだろう

外を見つめているくせに、俺の気配が消えると途端にキョロキョロと見回して

姿が見えるとあからさまにホッとした顔をする

一度、ちょっとした悪戯心で隠れてみたら
“まーくん、まーくん…!“ なんて絶望的な顔で泣かれた

その悪戯はあれっきり、するのを止めた

あまりに必死に俺を捜すかずくんが可哀想すぎて
とてもじゃないけど出来るわけがなかった


「かずくん」

窓から視線を外し、かずくんが振り返る

「一緒に飲も」

2つのカフェオレを手に、俺も隣に座った

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