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今日も明日も

第60章 見えない鎖 part Ⅲ


どうせ動けないし
体の傷はいっぱいだし

こんなとこにいればすぐにバイ菌が入るだろうし

方法なんか考えなくても簡単に死ねる気がする


だけどやっぱり怖い
死ぬ、って凄く怖い

どうせなら、苦しまないで死ねたら幸せなのに

ここでまた苦しまなきゃいけないなんて、酷すぎる




何が出来るでもなく、綺麗に光る夜空を見つめるだけの時間

今は、残る痛み以外の苦しみはない

もしかしたら、これが最期の穏やかに過ごせる時間なのかもしれない

誰に危害を加えられる事もなく、ただ星を眺めてるだけなんて

俺からしたら物凄く贅沢な時間なんじゃないか



残された缶ジュースを手に持ってはみたけど、開ける力が残ってない

…なんだ

やっぱり優しくなんか、なかった

俺が、今の状態ではこれを開けられないのを知ってたんだから

優しさと見せかけた残酷な仕打ち


止まっていた涙が、また溢れだした




このまま死なせて

眠ったまま、俺を死なせて






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