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今日も明日も

第60章 見えない鎖 part Ⅲ


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はっ、として目が覚めて最初に目に入ったのは
柔らかい色をした電気だった

そして固い地面でもなく、草の上でもなく
ふかふかの、ベッドに眠っている


隣にぬくもりを感じて視線を向ければ

「まーくん…」

すやすやと眠る、まーくんの姿


ああ、夢か
俺があそこに捨てられた時の、最後の記憶


嫌な汗が背中を伝う
思い出したくないのに、夢はそれを許してくれない



まーくんに助けられてから、もう1ヶ月近く経つ

まーくんは俺を助けてから暫くは一緒にいてくれたけど

「お金がなきゃ生活出来ないからね」
と、休んでいた仕事に戻った

だけど俺は、多少は回復したものの
ご飯はまだまともに食べられないし、体力がない

そして、働ける能力が……ない

アルバイトをした事はあるけど、どこに行っても “使えない“ とクビになって

“役立たず“ と罵られてきた


そんな俺なのに、嫌な顔ひとつしないまーくんが不思議で仕方ない

俺なんか、何の役にも立たないのに

ストレス発散の道具にしかなれないのに、それもしないとか

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