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今日も明日も

第60章 見えない鎖 part Ⅲ


「かずくん、少し話しよ」

「はなし?」

「うん。もう、いい加減このままって訳にもいかないみたい」

「…俺、捨てられるの?」

だって “話“ って言ったらそうとしか思えない

今もまーくんの顔は険しいままで
…きっと、今のがまーくんには嫌な事だったんだ

だからもう、いらないって言われるんだよね


「何言ってんの、捨てるって何それ」

「だって……」

険しい顔が、今度は悲しそうに歪んでしまった

「ごめんなさい……」

まーくんに、こんな顔はして欲しくないのに
笑っていて貰いたいのに

「そうじゃない。かずくんの事を教えて欲しいの」

「俺の、事…?」

俺の、何を知りたいんだろう

何もないのに
話すような事なんか、ないのに

ずっとお兄ちゃんに、従ってきただけの俺に
話すようなものなんて

あるわけがないのに


「えっと…、聞いてもいいかな」

「はい」

「かずくんが、あそこにいたのはどうして?」

まーくんの言う “あそこ“ って

山の、中
……まーくんが、助けてくれた場所


俺がそれを話したら

まーくんは、どんな顔をするんだろう



to be continue…

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