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第61章 見えない鎖 part Ⅳ
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かずくんの体の傷が、虐待に依るものだと言うのは、薄々感じてはいた
だからある程度の覚悟は出来てたつもりだった
だけどそれよりも
“実の兄“ がかずくんを売って
性的な事をさせていたと言う事実に吐き気を覚えた
そして
知識の乏しいかずくんは、兄が喜ぶからとそれがどんな行為かも良く分からないで
言われるままに体を差し出していたと言う事に怒りを覚えた
勿論吐き気の対象も、怒りの対象も
かずくんではない
見た事はない、かずくんの “兄“ に対してだ
どうしてそんな事が出来る?
実の弟を、どうしたらそこまで貶められるんだろう
切り傷や痣は、目立たなくなってきてるけど
多分タバコを押し付けられた “根性焼き“ の火傷の痕は痛々しく残っている
かずくんはどれくらいの間、一人で耐えて来たのか
痛みや苦しみしか知らずに生きてきたのか
…考えただけで苦しい
兄が笑ってくれるから
喜んでくれるから、と他人の欲の捌け口に自ら身を渡したかずくんは
何を感じながらそれを受け止めてたんだろう