今日も明日も
第61章 見えない鎖 part Ⅳ
だってかずくんは “お兄ちゃんが喜ぶから“ って言った
これ、下手すれば俺が仕事でいない間に、俺を喜ばせようと外に出て
売春まがいに誘うような事をしかねないじゃないか
それでなくてもかずくんは、何も出来ない、何もしてあげられないって口癖のように言ってるし
今回、この誘い方を思い出してしまったのならその心配は当然だと思う
かずくんは男だけど、そう言う嗜好者がいるのは当然の事だし
…これだけ “可愛い“ と思える容姿をしていれば、血迷う奴だっているだろう
だって現に
俺はかずくんに対して意識してしまう事があるんだから
「ねぇ、かずくん…聞いて?」
抱き締めたまま、怯えさせないように優しく髪を撫でた
「かずくんは汚くなんかないし、汚れてもない」
「でも……」
「じゃあ、汚れてるって思うのはなんで?」
多分、ここでかずくんの本音が聞けると思った
確証なんてないけど、何となく言葉の端々からそう感じたんだ