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今日も明日も

第64章 見えない鎖 part Ⅴ



俺が出掛けた後、かずくんはゆうに2時間は玄関の前に座っていた

1度、恐らく勧誘だろうチャイムが鳴った時は

外の足音にびくついたのなんて比じゃないくらいにガタガタと震え、手で口許を覆っていて

ー…ごめんなさい、と呟く声が耳に付けたイヤホンから聞こえてきた


…多分泣いていたんだろう
暫くしてから腕で顔を拭う仕草を見せた


その後は、とぼとぼとリビングの窓まで向かい
カーテンを開けてから下に座り

ベランダに止まる鳥を眺めてる様子が映る


何をするでもなく、ただ窓の外を眺めているだけなのに、何故か目が離せない

テレビも付けず、この静かな部屋でかずくんは何を考えているんだろう


玄関外の足音、そしてチャイム

もしかしてかずくんは兄が来るかも知れないと思っているのだろうか

だからあんなにも怯えて、謝り続けているのか

こんなとこにかずくんの兄が来るはずなんかないのに

…だけどそんな事を思う余裕なんかかずくんにはないんだろう

いや、かずくんの兄がどんな人物か分からないから “来ない“ は言い切れないか

そこまで思い当たって、一瞬背筋が寒くなった

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