今日も明日も
第64章 見えない鎖 part Ⅴ
もしかして、俺はかずくんに更に恐怖を植え付けてない?
仕事とは言え、独りぼっちで留守番させて
夜まで帰らない俺を待って
その間にチャイムや外の音に怯え続けて
ベランダの鳥だって、ずっと止まってる訳じゃない
“おいで“ と言って来る訳でもない
そんな空間で、かずくんはじっと我慢してる
だから俺が帰ると、いつもホッとしたような
…泣きそうな顔をしてたのか
何かもう、ここだけでも今すぐ帰りたい
帰ってかずくんの傍にいてあげたい
だけどまだ昼にもなってないし
この後のかずくんが気になるのも嘘じゃない
…とりあえずいい加減不審そうに見られてるから場所を変えよう
チラチラと店員が見てくるのは、気のせいじゃなさそうだ
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あまり人のいない公園のベンチは、映像をゆっくり見るには最適だった
時間も忘れ、ひたすら画面の中のかずくんを目で追う事に奇妙な興奮すら覚え始めている
気になって気になって仕方ない
昼を過ぎる頃には “心配“ よりも、俺の “好奇心“ の方が間違いなく上回っていたと思う
このまま見ていたい、…そんな気持ちが胸を支配し始めていたのを、隠せなかった