テキストサイズ

今日も明日も

第64章 見えない鎖 part Ⅴ


5分も経たずに時計を見ては溜め息を吐いて

“まーくん…“ と呟くかずくんから、俺の帰りを待ちわびているのが伝わってくる


もういいだろ

かずくんに裏なんかない

俺が見た、知ったままのかずくんだ

まだ、様子を見たのはたった1日だけど、それは充分に分かった気がした


ただ、カメラを外すかは別の話で

これからも、1日中とは言わなくてもかずくんの様子を見たい気持ちは変わらないけれど




映像をストップさせて、今度は電話帳を開く

もちろん相手はかずくん

待ちわびている彼に “もうすぐ帰るよ“ …そう伝える為に



『…まーくん?』

コールが2回目を鳴らす前にかずくんが出た

少し不安そうな声

俺以外、ありえないし
名前だって登録してあるのに

「うん、…これから帰るね」

『はい』

「後30分くらいかな」

『…はい』

最後の “はい“ が少し寂しそうなのは気のせい?

だけどそれを聞き出すよりも

早く帰ってかずくんの傍に行きたい

大丈夫だよ、って安心させてあげたい


“急いで帰るから“ それだけ言って、駅まで走る俺は

かずくんをどう思っているんだろう




ストーリーメニュー

TOPTOPへ