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今日も明日も

第64章 見えない鎖 part Ⅴ


ベッドに運ぶために抱き上げても、かずくんは目を覚まさない

たかが米炊き
されど米炊き

大きな仕事を終えたかずくんの寝顔はとても穏やかで

慎重に運んで起こさないようにそっとベッドに降ろしてから、その寝顔をゆっくりと見つめた


日に日に、かずくんに対して愛しいと言う気持ちが湧いてくる

少しずつ出来る事が増えるのが嬉しく思う反面、このどこか幼いままでいて欲しいと感じる矛盾

早く自分を取り戻したかずくんを外に出してあげたいけど

このまま閉じ込めていてしまいたいとも思う捻れた気持ち



もしかずくんの “兄“ が
この気持ちと同じだとしたら

弟が可愛いが故の、…かずくんを逃がさない為の虐待行為だとしたら


「…俺は、殴ったりなんかしない」

一瞬そんな事が頭によぎった俺は
恐くなってしまって思わず口に出した


俺はかずくんの兄とは違う
同じ筈がないじゃないか


そう思うのに、どうしてもスッキリとしない感情は

少しずつ

だけど着実に

ー…俺の心に蓄積されて行った



to be continue…

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