今日も明日も
第65章 見えない鎖 part Ⅵ
先輩の車でアパートに戻り、かずくんにこれからの予定を伝えた
本当ならネコは内緒にしたかったけど、下手に隠して俺がまた出かけるのは
かずくんにとって辛いのは分かっている
コンビニで買ったお弁当を渡しながら説明していても
既に唇を噛みしめて受け入れようと必死だし
「かずくんが大丈夫そうなら…一緒に行く?」
無理はさせたくないけど、この辛そうな顔を見て留守番させるのはやっぱり気が退ける
それに、多分先輩なら連れて行っても何とも思わないだろうし
入社からずっと一緒だけど、社内で一番信頼のある人だし何より面倒見が良い
「かずくん?」
黙ってしまったかずくんは、俯いてしまった
きっと、どうしたら良いか迷っている
「…一緒に行っていいですか?」
あまり先輩を待たせてられないな、と答えを出させようとする前にかずくんが顔を上げた
「大丈夫?」
俺が提案したくせにその答えに戸惑う
だって本当に行くなんて、思ってなかった
「…はい」
「分かった。恐くなったら言うんだよ」
もし言われても、助け方が分からないけど
今は、かずくんのしたいようにさせてあげたい