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今日も明日も

第65章 見えない鎖 part Ⅵ


先輩は早急に貰い手を捜したかったのか

はたまた俺の気が変わらないうちにと思ったのか

その日の帰りには引き渡したい、と言ってきた

足がない事を伝えれば、1度帰ってからアパートまで連れてきてくれると言う

だけどネコを迎え入れる準備が何もない

それを伝えたら “必要なものを教えるから一緒に買いに行こう“ と言い出して

そのまま俺を送りながらネコも…と言う風に話が進んでしまった


帰りがかなり遅くなるのは必然的だ

時間的に、夕飯も一緒に食べる事になりそうだし
そうなるとかずくんのご飯が何もない

それに、長く独りぼっちにさせてしまう

外に出るのを酷く嫌がるかずくんだから一緒に、と言う訳にもいかない


「すいません…一度、先にうちに回って貰えませんか?」

ならば電話ではなく

弁当でも買って、一度帰って顔を見て
出直すのが良いような気がした


「ん?ああ、構わないよ」

幸い先輩は快く頷いてくれて

“彼女でも待ってるのか“ と言う揶揄いには曖昧に笑ってごまかしておいた




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