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今日も明日も

第65章 見えない鎖 part Ⅵ


鼻を擽るかずくんの柔らかい髪

細いけどしなやかな体

「かずくん、いい匂いがする」

そしてほんのりと甘い香り


抱き締める事を受け入れている時のかずくんは、赤くなったままじっとしている

「そんな事…ないです」

未だに自分を汚いと思っているのは変わらなくて

照れていると言うよりもどこか辛そうにそう答えた

「かずくんは、いい匂い」

だから何回でも伝えるんだ

かずくんは汚くなんかないって
汚れてなんかいないんだって




******


翌朝、いつも通りかずくんに見送られた俺は

電車の中でいつものように部屋のカメラを起動させた

多分今日からは、玄関に座る事もなくネコと遊ぶだろう

寂しいような、だけど安心したような
…そんな気持ちになりながら画面を見て

ー…嘘だろ?

相変わらず玄関に座るかずくんが映り、思わず目を見張った


腕にはしっかりと仔ネコを抱っこしている

それなのにやっぱりかずくんの顔はいつもと同じ、切なげな顔で玄関を見つめていた

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