今日も明日も
第65章 見えない鎖 part Ⅵ
だけど、やっぱり少しは気が紛れてはいるようだ
時々仔ネコを撫でては何か呟いているし
俺ですら見てない優しい顔で仔ネコを撫でている
そんなかずくんの姿が嬉しい反面
やっぱりどこかで心が曇る
かずくんを喜ばせたくて引き取ったのに
かずくんの感心が俺から逸れる事が面白くない
ー…やっぱり俺、おかしい
どうしたら、この感情はなくなるんだろう
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「あ、相葉!待ってたんだよ!」
俺を見るなり、先輩が手招きしてきた
「話があるんだ」
昨日のネコの話だろうか
その割には人目から離れようとしてるのが気になる
朝の、人がいない自販機前のベンチまで誘導され
先輩の様子が何処かおかしい事に気が付いた
「どうしたんですか?」
「昨日の彼の事」
「え?」
そう言えば、先輩はかずくんを “見た事がある気がする“ と言っていた
「俺さ、気になって昔のアルバムとか見てみたんだよ」
「え…?」
「あの子、兄貴いない?」
まさかこんな所で繋がりがあるなんて思っても見なかった
いや、だけど何かの間違いって事もある
「何で、ですか…」
だけど俺の背中には、嫌な汗がじわりと滲み出していた