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今日も明日も

第70章 見えない鎖 Ⅷ


何だか本当に猫みたいだな

だけど

微笑ましいとも思える光景を、かずくんの息を詰めたような吐息が一変させた

なに、今の声

別に体勢は変わってないのに、何故かかずくんは顔を真っ赤にしていて

…よくよくその姿を見て、その意味が分かった


にゃん太がかずくんの耳や首を舐めている

「ちょ…、にゃん太…っ」

相手が子猫だからか、無理にどかす事も出来ずに目をぎゅっと瞑って耐えているかずくんがそこにいて


…多分、敏感に感じ取っているんだと思う

だって最初の頃、やたらと過敏に触れられる事に反応していたから


「…ふあ……っ」

ヤバいだろ、その声

目を閉じてそれを聞けば、誰がどう聞いたって “そう言う声“ にしか聞こえない

少なくとも俺にはそうとしか聞こえなくて

やたら胸がドキドキして、止まらなくなってきてしまった

それでなくても、かずくんに対して特別な感情を持ち始めてるんだ

“触れたい“ と思ってしまっているのに



だけどそんな事を知らない2匹の猫はじゃれるのを止める訳がなくて

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