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今日も明日も

第70章 見えない鎖 Ⅷ


今、かずくんはにゃん太とじゃらしを使って遊んでいる

俺からしたら2匹の猫がじゃれあってるようにしか見えなくて

にゃん太と同じように転がって遊ぶ無邪気なかずくんは、初めて見る姿だった

そして初めて見た笑顔

こんなに柔らかい表情をするのかと驚いた

元々顔立ちは整ってるなとは思ってたし、笑うと間違いなく可愛いだろう事は容易に想像はできていたけれど

想像以上の可愛さだ


…それを引き出してるのが俺じゃなくてにゃん太だと言うのは正直面白くはない

だけど
それ以上に、かずくんの笑顔に惹き込まれている


俺に見せるのは
泣きそうな顔か、縋りつくような顔

それはそれで俺を必要としてくれてるって分かるから

決して嫌な顔なんかではないんだけど





「ふふ、にゃん太くすぐったい…」

半ばボケッと見つめていた所にかずくんの声が耳に届いた

これも初めて聞く声色だ

ハッとしてかずくんを改めて見ると

じゃらしに夢中になったにゃん太が寝転るかずくんに纏わりついている姿だった

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