今日も明日も
第70章 見えない鎖 Ⅷ
のろのろとかずくんも体を起こし、俺の真正面に同じように膝をつく
「嫌いになんか…ならないです」
まだ震えの治まらない、俺よりも小さな手が
ゆっくりと俺のそれに重ねられた
ー…ドクン
その感触に心臓が大きく波打った
手なんて何度も触ってるのに
握ってるのに
やっぱり今すぐ引き寄せてしまいたい
その唇に噛み付いてみたい
再び沸き上がろうとする、どろどろとした俺の歪んだ感情を必死に抑え
俺は曖昧な笑みを作ってごまかした
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かずくんは、今まで以上に俺の傍にいる事を望んだ
多分俺が少し距離を取ろうとするのを感じ取っているようだ
表面的にはそれまでと大して変わらない生活に戻って、俺も衝動を抑えられている
かずくんも俺も、べらべら喋る訳ではないから静かな時間の方が多いけど
にゃん太を構いながら過ごすまったりとした時間は
この後に訪れる異空間のような出来事に巻き込まれる前の
もしかしたら、所謂 “嵐の前の静けさ“ なのかもしれない
…さっき先輩からのメールを読んだからか
余計に今の時間を守りたいと、思えた
to be continue…