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恋桜

第1章 恋桜

 次の日……あいにくの雨。確か昨日、天気予報で言ってたな。櫻の言葉が衝撃的すぎてすっかり忘れていた。


 雨は二日続いた。春のこの季節にしては珍しい。






 チュンチュン……
鳥の鳴き声で目が覚める。やっと晴れた。俺は桜並木へ足を運んだ。風雨のせいで桜が散っていた。櫻は居なかった。


 次の日も次の日も……待っても待っても居なかった。


「さくらぁぁぁぁ!!」


 俺は叫んだ。すると桜の木から声が聞こえた気がした。


「また来年逢おうね」


 と……。


 俺は待とうと思った。櫻が桜の精だということも信じる。だって櫻は、桜そのものだったから。俺は毎年、桜の精の桃白櫻を待つ。




 さくらに――永遠の愛を誓おう。


End

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