Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第6章 死神
魔王「ほな、そろそろ失礼するわ。」
聖輝「あっあの!」
魔王「何や?」
聖輝「あの…その…僕のこと!覚えてますか…?」
魔王「……。」
聖輝「この間…ファミレスでさが高の人達に絡まれてたのを…あなたが助けてくれました…」
聖輝「そっその時!お店に20万円渡してましたよね?あれ…実はお店の人から持ち主に返してほしいって言われて…それで……」
聖輝「ごっごめんなさい!!僕…きっちり20万円返す予定だったのですが…ちょっとお金を取られて…その…残り10万…足りないんです…」
聖輝「でも!!いつか必ず返します!約束します!だから…その…」
魔王「金持っとるか?」
聖輝「えっ…?」
魔王「10万。」
聖輝「はっはい!」
僕はカバンの中からお金が入った封筒を取り出した。
聖輝「こっこれ……」
魔王「このお金な、こいつの為に使ったり。」
聖輝「えっ?」
魔王「お前の為に頑張ったんや、それでメシでも欲しいもんでも奢ったらええ。」
聖輝「でっでも…このお金は…!!」
魔王「ええんや。あと、残りの10万も返さんでええ。」
聖輝「そんな……」
魔王「ほな。」
聖輝「あっ……」
魔王は静かに病室を出た。
聖輝「…魔王……」
僕はドアから目が離せなかった。
僕が知ってる魔王は…優しくて…強くて…
そして、思いやりがある。
学校で噂になっている魔王とは180度違う。
何で魔王は悪党になったのだろうか。
僕は不思議で仕方がなかった。