Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第2章 はじまり
中野「ふざけるな!!何でこんなことに…!!」
聖輝「中野さん……」
中野「聖輝くん…ごめんね…こんなことになるとは思わなくて…」
聖輝「いえ…あの…そのさが高って…そんなに恐ろしいところなんですか?」
中野「…さが高はね…地元ではもちろん、全国でも恐れられてる高校でな…生徒はもちろん教師も元暴走族やヤンキーが集まってるんだ…」
聖輝「せっ先生も…?!」
中野「何でもさが高の校長は顔が広くていろんな権力者と繋がってるらしくて…廃校する様子がない。」
中野「さが高の生徒に逆らうと命はないって言われるほど…ほとんどの生徒がケンカが強くてな…もはや誰にも止められそうにないんだ…」
中野「そんな危ないところに入学するなんて…もう恐ろしい…!!」
聖輝「こっ怖いですね…」
中野「聖輝くん…ごめんな…この1年は我慢して、来年!来年な、高校受験できるから…それまでは……」
聖輝「……。」
さが高…史上最悪な高校。
確かに僕もそんな恐ろしいところに通うくらいなら中卒で働いた方がマシだと思う。
でも…
聖輝「……一日だけ…」
中野「えっ…?」
聖輝「…一日だけ…行ってみようかな…」
中野「なっ?!何をバカなことを!!もし何かに巻き込まれてケガでもしたらどうするんだ?!」
聖輝「そっそうですけど……でも…入学の手続き…してくれてるんですよね…?」
中野「そんなもん即キャンセルできる!無理して通う必要なんてまったくないぞ!!」
聖輝「……。」
中野「大丈夫、この一年間は休息期間だと思えばいい。気持ちを落ち着かせる為にも、家でゆっくりすればいいんだ。」
聖輝「……。」
中野「それに、きみが不良高校に通ってることを知ったらお父さんもお母さんも天国で泣くだろう…」
聖輝「……。」
僕は…何も言えなかった。
さが高が良いわけじゃないけど…高校に行きたいって思った。
でも…中野さんの説得…僕を危ない道に入れさせないようにしてくれてるんだ。
その意向を…そう簡単に裏切るわけにもいかない。