Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第12章 大倉くん
聖輝「あの…交通事故なんですよね?そのケガ…」
忠義「うん…半年前かな…でっかいトラックにはねられて…」
聖輝「うわぁ……」
忠義「まぁ、自転車でバイトに向かってた時やったからさ、自転車が俺を守ってくれて命取り止めてん。」
聖輝「よかったですね…生きてて…」
忠義「本間に…奇跡としかいいようがないもん。」
聖輝「ですよね…」
忠義「それから今日まで入院生活送ってるってわけ。」
聖輝「そうですか…家族の方も心配してるんじゃないですか…?」
忠義「せやね…おかんにも迷惑かけてるからな…」
聖輝「お母さんと…2人暮らしだって聞きました…」
忠義「うん、俺が中1の時に離婚してな…兄ちゃんがおとんに、俺がおかんについていくことになってさ…」
聖輝「そうですか…」
忠義「兄ちゃんもさ、おかんについて行く予定やってんけど、大阪の方で就職決まってたから…おとんの方についていってん…」
忠義「でもな、兄ちゃんウチにお金振り込んでくれるし、連絡もくれるし、俺が入院している時だってわざわざ大阪から来てくれるねん。」
聖輝「本当優しいお兄さんですね。」
忠義「せやね…俺の自慢の兄ちゃんやわ…」
聖輝「お兄ちゃん…か……」
忠義「そういえば涼野くん兄弟は?」
聖輝「…いえ…一人っ子です…」
忠義「あっそうなんや…じゃあお父さんお母さんと一緒に住んでるん?」
聖輝「………。」
忠義「…涼野くん…?」
聖輝「…あっ…ごめんなさい……」
忠義「どないしたん?涙…出てるで…?」
聖輝「えっ?あれ…いつの間に…」
忠義「ごめん…もしかして…嫌な話題やった…?」
聖輝「いっいえ、そんな……」
忠義「……ごめん…」
聖輝「えっ…?」
忠義「俺が泣かせちゃったね…ごめん…」
聖輝「そっそんな、大倉くんは何も…」