Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第17章 死神2
父親「借用書、あいつ…自分で金全額返済したんやって。」
翠「本当だ…」
父親「今は東京で工場で働きながら一人で暮らしてるって。」
母親「一人って…奥さんや子どもは…?」
父親「迷惑かけたからって…離婚したらしいわ。」
亮「……。」
父親「まぁでも!この借用書があるってことは…俺達はもう…あの苦しみを味わうことはなくなったってことや!」
翠「じゃあ…もう借金取りは来おへんの…?」
父親「あぁ!」
母親「ゔっ…ぐすっ…!!」
亮「母さん……」
母親「ゔぅっ…!!」
父親「ごめんな…お前には一番迷惑かけたな…!!」
母親「あんた…!!」
翠「ぐすっ…うわぁぁーん!!」
父親「ごめんな…翠…亮…!!」
亮「…っ!!」
家族全員が泣き崩れた。
俺も…姉貴も…母さんも…親父も…
あの恐怖から解放されたと思うと…一気に気持ちが楽になった。
思わぬ出会いが家族の幸せを運んでくれた。
父親「おっ!今日は大安か!」
亮「大安?」
父親「そう!今日一日めでたい日ってことや!」
母親「ふふ、あんた何かする時絶対大安の日選ぶもんね。」
翠「へぇ〜大安かぁ…今日は大吉やな!」
父親「せやな!ほら、ケーキ買ってきたからあとで食べような!」
翠「やったぁ!お父さんありがとう!」
亮「あぁ〜腹減った!」
母親「ふふっ…食べましょうか。」
父親「よし、じゃあ…」
「「「「いただきまーす!!」」」」
このごく普通の…平凡な家庭の幸せは……
長くは続かなかった。