Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第4章 家族
聖輝「んっ……」
あれ…ここは……
一徹「大丈夫か?」
聖輝「あっ…大将さん……ここ…」
春樹「俺の部屋、店の中で倒れたからこっちまで運んできた。」
聖輝「ごっ…ごめんなさい……」
有紀「涼野くん……」
聖輝「…ゔっ…ゔぅっ…!!」
一徹「涼野くん?どうした?」
聖輝「ごめ…なさ…い…!!」
春樹「涼野くん…何があったの…?」
聖輝「言ったら…嫌われちゃう…!!」
有紀「何言ってるの…そんな訳ないじゃない!」
一徹「そうだ!俺達は涼野くんの味方だ!」
聖輝「ぐすっ…ひっく…でも…」
春樹「ゆっくりでいいよ?無理に話そうなんて思わないで…」
聖輝「…!!」
春樹「俺達に話せるって思ったら…話して…?」
一徹「…そうだな…無理に話を聞くのも悪いな…」
有紀「とりあえず、今日はここでゆっくり休んで。」
聖輝「すっ…すみません…」
久しぶりに誰かの温もりを感じた。
背中をゆっくりさすってくれる女将さん。
僕の為に簡単な夜食を作ってくれた大将さん。
そして、僕の様子を気にかけてくれる春樹くん。
こんなに僕のことを心配してくれる人が…中野さん以外にもいるなんて…思いもしなかった。
聖輝「………話…聞いてくれますか…?」
一徹「涼野くん…」
有紀「…えぇ…ゆっくりでいいからね…?」
春樹「大丈夫…大丈夫だから…」
聖輝「……実は………」
僕は大将さん達に全てのことを打ち明けた。
中学卒業前に両親が事故死したこと。
中野さんというお父さんの古い友人の勧めでここに来たこと。
榊ヶ丘に通う予定がキャンセルになってさが高に通うことになったこと。
包み隠さず全て打ち明けた。