
Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第6章 死神
二宮さんに連れて行かれ、僕は定食屋さんに来ていた。
二宮「あのさ、この頃ずーっと気になってたんだけどさ…」
聖輝「はっはい…」
二宮「何であの人のこと狛犬って呼んでんの?」
聖輝「えっ?」
二宮「いや、狛犬って顔してないから。」
聖輝「えっ?あの人…狛犬さんじゃないんですか?」
二宮「狛犬って…何?もしかして名前だと思ってたの?」
聖輝「はっはい…狛犬って名字なのかなって…」
二宮「はぁ?んな訳ねぇだろ、狛犬って名字の奴どこにいんのよ?」
聖輝「いやっ…そう言われてみれば…」
二宮「あの人の本名は相葉雅紀。」
聖輝「あっ相葉雅紀…えっ?」
二宮「何よ?」
聖輝「いやっ…僕と同じ名前なんだ…」
二宮「あぁ、お前もまさきだっけ?」
聖輝「はっはい…もしかして、同じ名前でややこしいからわざと狛犬ってあだ名を付けたんですかね?」
二宮「さぁ?あの人の考えてることよく分かんないから。」
聖輝「そうですか…」
二宮「お前さ…何でさが高に来たの?」
聖輝「えっ?」
二宮「見るからにケンカ強そうに見えないし…すぐビビるし…」
聖輝「いやっそれは……」
二宮「……まぁ、言いたくなかったらいいけど。」
聖輝「すっすみません…」
二宮「ハァ…どう?相葉さんと一緒にいて。」
聖輝「えっ?あぁ、すごく楽しいです!明るいし、頼りになりますし。」
二宮「バカだし?」
聖輝「えっ?」
二宮「いや、あいつとは中学の同級生なんだけど、テストとか赤点しか取ってなかったから。」
聖輝「あっ赤点…」
二宮「まぁ言葉一つひとつがバカだから。」
聖輝「あらら…そうなんですね…」
二宮「まぁ、バカは嫌いじゃないけどね。」
聖輝「…僕も…狛犬さん好きです。」
二宮「…そう…」
聖輝「はい。」
狛犬さんは…狛犬の名前の通り僕の守護神だ。
さっきの死神の時も…瞬時に僕を助けてくれた…
狛犬さんは他の不良とは全然違う。
ケンカだけするんじゃなくて、ちゃんと人の気持ちを考えることのできる人。
そういう人こそさが高のてっぺんに立ったらいいのに…
