トクベツ、な想い
第1章 1
予告のない登場に少し動揺して
早喋りで答えてしまった
それに彼女はふふっと笑う
うお…可愛い…
彼女の名前は安藤みゆ 26歳
俺より2つ年下だけど
気遣いができて
分け隔てなく色んな人と接して
優しくて、何より可愛くて…
この会社のほとんどの男性社員が狙っているんじゃないだろうか…
何を隠そう、俺もその1人…
御膳に置いてあるおちょこに焼酎を注いでくれた
「あ、焼酎…ありがとう」
「いえ、櫻井さんそろそろかなーって思って
なんとなく分かってきましたから」
「当たり、そろそろいこうと思ってた」
寝ている待田を放置し、彼女との会話を楽しむ
こいつもみゆちゃん狙いだが、すまん
何回かこういう会でお酌をしに来てくれて
その度に今俺が欲しいものを当てて持ってくる
たぶん他の人にも同じことしてると思うけど
同じ部にいるとはいえ彼女は開発チームなのでそんなに話せない分、この瞬間が単純に嬉しい
しばらくして他の人のお酌に行ってしまった
焼酎は置いていってくれたので
自分でおちょこに注いで飲む
「あー…勇気でねー…」
おちょこを口に持っていきながら
他の人の所にいるみゆちゃんをチラッと横目で見て小さく呟いた
彼女は欲しいけど…この気持ちを伝えられない
-時間はあっという間に過ぎ1次会が終わった
行く人だけで2次会に行くという
俺は帰っても良かったんだけど
1次会で寝てスッキリした待田にしつこく口説かれて…行くはめに…
居酒屋とかならいいんだけど
スナックとかキャバクラとか…あんまり得意じゃない
何を話したらいいか分からなくなるからだ
「いらっしゃーい」
「部長さん、久しぶりじゃなーい」
「あらん、イケメン」
スナックのママさんらしき人と女の子達が
店に入るなり俺達に向かって一斉に寄ってきた
俺はとりあえず苦笑して適当に席につく
ぐいぐいと真ん中に寄せられて両脇に女の子達がついた
「お酒は何がいいですか?」
「あー…じゃあ芋焼酎を、ロックで」
「はーい」
ジャケットをぬぎながら答えるとすぐに作って出してくれる
それを軽く口の中に流すと両脇から質問攻めにあった