トクベツ、な想い
第10章 10
「あ、翔ちゃんそっちにいたんだー
浴室行ってみてもいないから…寝ちゃっててごめんね」
俺の後ろから潤も出てきた
「…わりぃ…ちょっと逆上せて…潤に、介抱してもらってた」
「え!?大丈夫?」
シーと唇の前に人差し指を立てて2人が寝ているからと注意をした
大丈夫だからと適当に着替えを渡し風呂に向かわせ
雅紀が寝室に来なくて良かった、そう安堵の息を吐き出す
「危なかったー…中途半端になっちゃったね…」
「…2人いんだぞ」
目でニノ達を指して小声で伝えた
"大丈夫だよ"と寝室から潤が毛布を持ってきて
ぐっすり寝ている2人にかけてあげていた
「俺もリビングで寝るね、翔くん寝室だよね?」
「あぁ…でも」
「一緒にいるときっと次は止まれないから…それじゃ困るでしょ?」
そうだなと頷き
寝室から潤の為に薄い毛布を何枚か持ってきて渡した
受け取ってすぐ風呂は明日にすると言い残しラグに横になっていた
笑顔でお休みと言われ、同じ挨拶をにこやかに返してテレビを消す
俺はとりあえず雅紀が上がってくるまで
自分の興奮を抑えるようにiPhoneをいじっていた
ー次の日の朝も楽しかった
泊めてくれたお礼に朝ごはんを作ると3人で張り切ってキッチンに入って
数分もしない内にニノと雅紀は当たり前のように言い合いを始め、それを大野さんが間に入ってなだめるという
その異様な景色を目の当たりにし潤と笑い合った
大人しくしててと言うので
ソファに座る潤の横に座って、3人に気付かれないように手を繋ぎ何事もない顔でテレビを見ていた
朝ごはんとよばれる時間帯を大幅に過ぎたのは言うまでもない
無事に食事を終え、雅紀は午後から用があると言うのでお開きになった
また5人で集まろうと約束をし、玄関で次々に出ていくみんなを見送る
最後尾の大野さんは出る間際に"智でいいから"それだけ言って帰った
読めない人だな、面白いけど
クスリと笑って閉めようとした瞬間
ドアに手が掛かった、と思うのと同時に唇に柔らかいものが当たった
優しく微笑んだ潤がそれだけ残して再び出て行った
「…ばか」
わざわざ戻ってきてまで…
一瞬だったけど
また明日からの忙しい日々を頑張れる魔法みたいだった