トクベツ、な想い
第10章 10
ホント頑固、そう思いながら抱き締め返した
「…俺のこと好き?」
「うん…」
「本当に?」
「好きだよ」
「もう一回…」
何回かそのやり取りをする
終わりが見えなさそうだったので
いい加減にしろと言って、潤の体を離した
「もう…早く納得してくれ」
「ごめん…そういう意味で聞いたんじゃなくて…
2人で会えない間…会いたいのと同じくらい、一時的な気の迷いなんて言われたらって…考えてた
…忙しいのに周りにちゃんと気を遣う会社での翔くんや、自分に厳しい面を持ってる翔くん、たまに抜けてる翔くんを見て…」
顔を潤に向け見つめた
「ずっとそうやって…翔くんはこういう人だって見てきたはずなのに
何回も本気って聞いてるし、キスだってしてる…嘘を言ってないって分かってたのに」
「俺も、悩んで…時間かかったから…気持ちは分かるけど」
「……うん…
でもさっきのヤキモチでね…やっと、翔くんは俺の恋人なんだって…はっきり自覚持てた
…俺の心を改めて翔くんで埋め尽くしたくて、止まんなくなった…」
真っ直ぐ見つめられる
「ねぇ翔くん…2位だったけど…俺のほしいものくれる?」
俺からの返事を待たず、ベッドに押し倒された
少しビックリした顔を見せてるのにも関わらず潤が俺の上に跨がる
顔の左右に潤の手が置かれて上からまた見つめられる
「翔くんが……ほしい…」
瞳が揺れた
それは…つまり…
俺の知らない先に、怯えた
構わず見続ける熱い視線は覚悟を決めたような、とても真剣で
本気だと思った
「…いいよ……潤となら、いいよ」
「……翔くん」
「俺だって潤がほし…」
言葉を遮ってのし掛かる形で潤が俺に抱き付く
「翔くん……翔くん…好き、本当に本当に…
ほしい……翔くんの全部がほしい……ちょうだい…っ」
興奮した潤に乱暴に唇を奪われて
着ていたスウェットの裾から手が入り素肌を上へ滑らせていく
その指の感触にブルッと体が反応した
ホントに…
でも何を、どうやって…
無くなりそうな思考を働かせているとリビングから籠った声が聞こえた
…雅紀の声
一気に現実に引き戻された
3人の存在を忘れていたなんて
慌てて潤を離し、寝室を出る