トクベツ、な想い
第11章 11
脱衣所にそっと入って適当に着替えを置き、潤が上がってくるのを待った
なんとなく気まずくて
出てきたタイミングで立ち上がり、潤の横を何も言わず通り過ぎて俺も風呂に入った
さっとドライヤーをかけ髪を乾かしてから
誰もいなくなったリビングの電気を消し、寝室に入る
ベッドの中にはもう潤がいて
こちらに背を向け、縮んでいた
布団を捲り隣に入る
…いつもならこれで寝るんだけど
潤が方向をかえ、こちらを見てきていたので
仰向けの俺はテーブルランプを消そうと手が伸びていたけどその視線に耐えきれず口を開いた
「寝ないの?」
「…寝るよ…」
顔を向けると潤の眉毛がハの字だった
「…悪酔いした…ごめんね、翔くん…」
きっとあの行動も言ってたことも本気だったと思うけど…
そういうことにしておいた方が、今のところは丸く収まりそうだったから小さく頷いた
明かりを消した暗闇の中から
「翔くん…手…繋いでいい?」
不安そうな声
俺もこの微妙な雰囲気で朝を迎えるのは嫌だな、と布団の中の潤の手を探りぎゅっと握った
暗くてどんな反応をしてるか分からなかったけど
潤も握り返してくれたからホッと安心した
手の温もりが心地よくて
睡魔が少しずつ寄ってくる
握り合った状態で瞼を伏せると眠りに落ちていった