トクベツ、な想い
第14章 14
カーテンの隙間から見える空は朝なのに暗かった
予報は曇りだったと、昨日見た情報を思い出して目を数回瞬く
仰向けの顔を横にずらせばこちらに顔を向けて眠る潤の姿
昨日の夜を…誰が予想できただろうか
「いっ…昨日よりちょっと痛いか」
そしてこの腰の痛みも…
あまり動かせない体に顔が歪むけど、決して嫌な痛みじゃない
会社に行くまでの徒歩がちょっと心配ではあるが…
おもむろに潤の頬に片手を伸ばして触れた
好きになったのが潤で良かった
ひとつになれて良かった
何も残せないと思ってたけど、この痛みは潤といる証
「こんな…嬉しいんだ…」
ほろっと涙が流れシーツにシミを作る
「ん…」
「…おはよ…」
「……翔くん?」
開けた目を丸くして俺の顔を見る
頬に触れている俺の手に潤の手が重なった
「…ごめん、無理させちゃったね」
「大丈夫…」
「腰、痛いでしょ」
「……うん」
「泣くほど痛い?」
「違う…これは、なんか…嬉し…っ」
次々流れる涙を潤の指が拭っていく
ふわっと笑って俺に近付いてくると額同士をくっつけた
「すっごい幸せだよ…俺…」
「ん…」
どちらともなくキスをして、見つめながら離れた
「午後まで安静にしてなきゃね」
「…てか動けねぇから」
「そうだったね…シップ貼ってあげるよ、待ってて」
起き上がってベッドを降りていく潤は真っ裸だった
布団を捲って自分の体を見ても同じ状態で
昨日…服も着ないで寝たんだっけ…
そう思うと恥ずかしくなって涙がサーっと引いていった
適当に服を着て寝室を出ていく潤の背中を目で追っていれば、ベッドサイドに溜まるティッシュの小さい山を見付けて
そこから少し見えたピンク色のゴムには液体が入っていた
「…生々しいわぁ…」
昨日の自分を思い出して頬が赤く染まる
数分もしないでドアの向こうから足音が聞こえてくると、そこから目を外して平然とした顔を作った
「翔くん、うつ伏せになれる?」
帰ってきた潤に、貼る前にせめて下だけでも…
そう服を要求しようと思っていたけど
すでにシップのフィルムを剥がしにかかっていたので、渋々布団を捲り重い体を動かしてうつ伏せに寝た