トクベツ、な想い
第18章 18
落ち着いたところで蓮くんの店を出た
送ってくと言われたが少し1人で考えたくて…
結局、倫さんはあれっきり
どうなったんだろ…
自分の部屋のソファに座って天井を仰ぐ
なんだかいつも以上に遠く見えて目を逸らした
iPhoneをとって寝室に向かうとベッドの上に正座をし、暗い中で動画モードに設定する
画面は伏せて声だけ吹き込んだ
「…潤、俺の気持ちを聞いてください…ー」
停止ボタンをタップし、ベッドに横になる
会えたらいいけど、直接は無理だと思ったからここに残した
これを…メールにでも添付して…
思ってる内に、泣き疲れとちょっとした安心感で腫れた目が閉じていった
ーハッと目を開けた
「…寝た?」
外の明るさを確認してからiPhoneを見ると
もう出勤準備をしなければならない時間
「やべっ」
慌ててシャワーを浴び、身なりを整え部屋を出た
「はぁ…ギリギリ」
「おう、またギリギリだなー大丈夫か?」
「あ?…うん」
息を整えつつ仕事の準備をして
開始された仕事の時間中、俺は密かに決心を固めていた
昼になり、俺は食堂ではなく公共スペースにいた
喫煙室には入らずじっとソファに座って
「食堂に顔を出さなければここにくるはず…」
時計を確認しながら待った
「櫻井さん」
来た…
「昨日の人達…」
「ちょっと来てくれる?」
「え?」
前に現れた彼女の言葉を遮って立ち上がり、足を進める
昨日のことがあったから来ないかと…でも彼女はきた
それがどのような思いでとか今の俺にはどうでも良かった
向かったのはたまに社員が使う倉庫室
中にはいくつも棚があって、ファイルやら資料やらが並んでいる
床は色んなものが詰まった段ボールや机が散乱していた
華やかで綺麗な会社の表とは逆の風景だった
「…なんでこんなとこ」
「いいから」
中に入れてドアを閉めると一呼吸置き、口を開いた
「…もう…俺に付き纏わないでくれる…?」
目の前のその子にはっきり言った
さっきまでの顔から一変して表情が変わる
「なんで…他に好きな人でもできたんですか?」