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トクベツ、な想い

第18章 18





いや…と首を振る



「昨日、無理矢理ラブホに入ろうとしたからですか?」


「それも間違ってはないけど、嫌なんだよもう」


「これ…ばらまきますよ?」



ポケットからスマホを出した

彼女の最大の武器…


こんな小さいものに怯えたのか


少し瞳は揺れたものの、それでも目は逸らさなかった


俺はずっと潤に守られて、頼って…すがってばかりで…

勝てるのは歳と不器用さくらい


今度は俺が…



「…楽しい?そんなことして…」


「え…」


「俺と…潤はさ…
華奢な君でも崩せる、脆い場所に立ってる
俺達は結果的に崩れ落ちて…」



自分の弱さを思い知らされた



「…だからってもう君に屈しないよ…」


「言うわよ…?」


「言えば?」


「…本当にやるわよ?」


「やれよ」



低い声で威圧した



「いや…」



彼女の目は激しく揺れ、手からはスマホが滑り落ち



「あ…」



床に叩き付けられる衝撃音と共に、画面に蜘蛛の巣のようなヒビを作った

俺はそれを見てホッと息を吐き出す



「…行かないで…」



消えそうな、泣きそうな声で訴えられる


…もうその手にだって掛からない






ーカチャ…




ビクッと体を跳ねさせて後ろの扉を見た



「……え…」



入ってきたのは潤だった

葵ちゃんも何で?という顔をして驚きが隠せないようだった



「話の途中にごめんね、お邪魔するよ」



片手に何枚か紙を持って入るとドアを閉めた



「…なんで…ここ…」


「ん…見えたから」



潤とのたったこれだけの会話に嬉しいと感じた



「これ、何か分かる?」



1枚の紙が彼女の前に突きだされる



「…は?」



怪訝な顔をして紙を眺めると即座に青ざめて
潤の手から残りの紙を奪いとり、全てに目を通していた



「…何よこれ」


「あんたの被害にあった人達の声だよ」


「なんでこんな…」


「いやーすごいね、たくさんいてすげぇ時間掛かったよ
まだ全員じゃないけど…もう我慢の限界だったし…」



状況がよく分からなくて?マークを頭の上にかざした


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