テキストサイズ

トクベツ、な想い

第1章 1






年が明けて新年会シーズン

俺の29回目の誕生日がせまる1月




「はよ、どう?今回の企画」


「んー…まだちょっとまとまんねーな…」



大手IT企業に入社して約7年

花形と言われる″企画、開発部″でやり甲斐を感じながら働いている


俺は主に企画チームで
今一緒に話しているこの待田(まちだ)という同僚とあと何人かで次の企画案を練っている



この会社は実用的なアプリからゲーム、インターネット、パソコンに通じることはなんでもやっていて

各階によってジャンルは様々
俺のいる6階はアプリが専門だ




オフィスは今話題の

″こんなとこで働いてみたいベスト10″

にでも入っていそうなほど個性的で清潔感があって、それぞれがそれぞれの仕事に向けての案を考えるのに自由な空間だ


俺の部も上に吊るされたプレートを見なければ
廊下側にドアも壁もないので誰でも入ってきてしまいそうな作りになっている


まぁ一応、観葉植物みたいのが仕切りというように廊下と部の間に並んでいるけど…



服装もそんなに縛られてはいないが大体みんなスーツだ

俺もそう、ネクタイしないくらいかな…



「櫻井さん、前の企画案ありましたよ!」



横の壁1枚で仕切られた隣の部の女の子が
廊下から紙を俺に向かいひらひらと振っていた



「ありがとう」



駆け寄ってその子から紙を受け取る


隣の部は俺たち″企画、開発部″とその向こうにある″運用、保守部″の中間にあり
補佐役として設置されている



通称 EA部
″Excellent Assistant″という…まぁそのまんま優秀な補佐って意味なんだけど
各階にEAチームは存在する
その階にあるジャンル全ての高い知識を持ったいわばスペシャリストだ



この階はアプリ専門だからそれに富んだ人がEA部にはいて


常に案が出るわけじゃないから時には提案じみたことを助言してもらったり

緊急の運用チームのサーバー管理を請け負ったり

かと思えば雑用のようなことをやってもらったり

…うちの部に入りきらない過去のデータや資料を置かせてもらったりと色々してもらっている



一応土日休みだけど不定期だから
頭の良さもそうだけど体も強くなきゃ入れない
入っては辞めていく人が多いみたいで…

今の子も後どれくらいもつんかな…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ