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トクベツ、な想い

第1章 1





「櫻井、何してんだよ案 練るぞ」


「あ、わりぃ」



待田が自分のデスクに置いてある紙を見て
うーんと唸っている


慌てて駆けよると

待田とは真後ろの自分のデスクからイスを引いてきて、さっき受け取った過去の企画案と今回の企画とを並べにらめっこをする



「これはさー…」


「でもさー…」



案を各々だして話し合うが

結局まとまらぬまま昼になってしまった

まだまだ先は長い…









-昼の時間になると一斉に食堂に向かう



いつも通り、3脚イスが置いてある丸テーブルに待田と向かい合わせに座ると
コンビニで買っておいた軽い食べ物を口に運ぶ



「お前また…ちゃんと食えよ
定食とかあるんだからさー…」


「食ってんじゃん、昼はそんなに食えねーの」



あーだこーだ言いながら昼が終わる







俺は1年前まで彼女がいた

大学の頃から8年も付き合っていたのに…フラれた


1人暮らしの上に料理ができない俺は
大体こんな感じでコンビニか外食、時々作りに来てくれた彼女の手料理で満たされていた


すごい美味くて…でももう二度とない


別れてから外食に行く気にもなれなくて
俺が住んでいるオートロックマンションに近いコンビニをよく利用している










-企画案はそんなに急ぎだって聞いてないし
今日は定時でいいかな


いつも通りコンビニで夕食買って家でまったりするか

帰り支度をしながらそう考えて



「お疲れっした」



部のみんなに挨拶をし帰ろうと足を進めると待田に腕を掴まれた

反射的に足を止めて振り返る



「おいおい、今日新年会って忘れてるだろ」


「え…あっ…」



忘れてた…



「お前彼女と別れてからずっとそんな感じじゃん
仕事はそつなくやってるけどさ…
もうちょっとしっかりしろよイケメン!」



最後の方は貶してるのか褒めてるのかイマイチよく分からないけど

隙ができると元カノのことを考えてしまうから本当にしっかりしないと…



悪いと後頭部を片手で掻きながら俯いた


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