トクベツ、な想い
第21章 エピソード潤
見つめ合った翔くんの瞳はやっぱり綺麗
吸い込まれそう
「愛を…誓ってくれますか…」
俺のズボンのポケットから出した小さな箱
翔くんに中身を見せると驚いて…
だけど、選んできた俺の言葉をしっかり聞いて
目に涙を溜めていた
「………っ…はい……」
その返事に俺も泣きそうになったけど
ぐっと耐えて翔くんの薬指に指輪をはめた
「…っふ……はぁ…いつから、用意してたの…?」
「…んー…去年から」
泣きながら笑う翔くん
…ちゃんと、両想いになった時に買ったものなんだよ
買う前、指のサイズを確認しながら手を握ってたなんて分からなかったでしょ
「……すげぇ……っ……」
翔くん
嬉しい…嬉しい…
そんなに泣いて喜んでくれるの…
夢じゃないよね…
「はは……もらい泣き……」
「…も…カッコよく決める…つもりだったのにな…」
もっとイメージはいい感じだったのに、台無しにしちゃった…?
しょうがないか
悲しい涙じゃなく、嬉し涙だから止まらないんだ
泣いてる合間に翔くんから出された"結婚"の2文字
そうだね、これは男女がするもの
日本の法律にはまだまだ同性の理解はない
だったらここを出ていこうか
すぐじゃないよ、一緒に暮らすことはできてるし
でもね…俺は証が欲しいよ
勝手かな?
ごめんね
本気なんだ、一生を翔くんと添い遂げる
俺のわがままに付き合ってくれない?
翔くんと会ったのは必然だと思う
お互いに酷い過去があって…
でも傷を舐め合うために傍にいるわけじゃない
求め合ったんだ、心が
共鳴したんだよ
翔くんが苦しいと俺も苦しくて
俺が嬉しいと翔くんも嬉しい
ね、きっとそうでしょ?
これからの俺達には色んな試練が待ってるね
怖くない、なんてカッコいいこと言えたらいいけど
まだ仕事でも男でも半人前の俺
でも俺は俺らしく、翔くんを守りたい
一緒に問題に向き合って、支え合いたい
そうして成長していって…
最後にいい人生だったって目を瞑るんだ
俺の心も体もあげる
このトクベツ、な想いもあげるよ
だから俺の横に、傍に
笑顔で…ずっと居てください
俺の最愛の人
エピソード潤 ーENDー