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トクベツ、な想い

第3章 3







帰り支度をしている最中

これから用があるというのに
みゆちゃんを意識しすぎたせいで今日はどっと疲れた



「んじゃ、お先」


「おー」



一昨日忘れたコートを羽織りながら

待田とみんなに挨拶をして会社を出るとそこにはもう松本くんが待っていた



「ごめん…俺遅かった?」


「いやいや、僕も今ですよ」


「良かった
店さ、この近くのイタリアンなんだけどいい?」


「イタリアンめっちゃ好きです!
ありがとうございます」



俺と身長は変わらないはずなのに
カバンを持ちながら両手を上げ、無邪気に喜んでる姿はまさに少年


クスッと笑ってから
ちょっとした話をしつつ10分程歩いたとこの店に入ると、店の中は賑わいでいてビックリした



「もしかしてこの店人気なの?」


「あれ…知ってたんじゃないんですか?」


「いや、実は外食久しぶりで
こんなとこに店あるのすら知らなくて…」



発見だと辺りを見回しながら
予約してあることを店員に告げて席に案内してもらった

コートだけ脱いでイスにかけ座る

席に着いて尚あちこちを見ては
ほぉー…っと声を漏らす俺
松本くんはそんな俺を見てずっと笑っていた



「…どした?」


「いや、すいません
なんか可愛いなって思って…」



いやいや、男に可愛いって何よ



「おっさんからかったって何も出ないぞ」


「だからおっさんじゃないですって」



初めて会った時より固くない自然な感じで会話ができてた

松本くんは柔軟だな


メニューを見ながら会話をするも
みゆちゃんから思いがけない誘いがあったことを思い出して…


顔は気付かぬ内ににやけていった



「なんかいいことあったんですか?」


「え…」


「ニヤニヤしてますよ?」



あ…と口元に片手を添える


自分から誘ったのに
気になってる女の子からの誘いがあった、なんて言ったら気遣うよな…


とりあえずなんか頼もうと話をすり替えて
半ば強引にメニューを押し付けると、いくつか料理と飲み物を店員に頼んだ



「…で?」


「え?」


「ニヤニヤしてた原因ですよ」



なんだよ、はぐらかし作戦失敗
意外とぐいぐいくるな



……まぁいっか

なんなら相談に乗ってもらえばいいし
松本くんになら色々教えてもらえそうだし


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