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トクベツ、な想い

第4章 4








瞼が明るい…



「ん…うおっ…」



目を開けるが、すぐに細めた
太陽の光が顔に当たっていた



「…カーテン閉めてなかった…もう朝か…」



あのままソファで寝てしまったらしい


上には何もかけていなかった
今頃寒さを感じて体が震える


昨日は1缶でもアルコールを摂取していたから少し体が火照っていたのだろう


そんなに寒さは感じられなくて暖房すらつけてなかったのを思い出した


松本くんは大丈夫かな…
…潤だよな、潤



「っくし…風邪引くわ…」



鼻を啜りながら時計を見ると出勤まで少し余裕があった


昨日の潤並みにボサボサの頭で起き上がってキッチンに行くと、何枚かゴミ袋を持って戻る


テーブルの上の缶とつまみの空容器を分別しながら袋に入れ

使ったグラスを2つ片手で持ち、キッチンのシンクへ置くとその中で洗った


最後に綺麗にテーブルをしゃがんで拭いている時、ズボンが少し皺になっていることに気付いた



「やべ…ソファで履いたまま寝たから…
ワイシャツもちょっとよれてるし…」



はぁとため息を吐き捨てる

寝室に入って、昨日投げ入れた服などが散乱している状況にまたため息が出た


これは後で片付けるとして…



クローゼットにあるタンスから着替えを出した時、側にあの雑誌があった


しばらく見つめてから着替えと一緒に手に取ると寝室を出た


リビングの端にあるいらない新聞紙の束の間に、雑誌を潜り込ませる



「…なんか、みゆちゃんに申し訳なかったな…」



面影を重ねたりして…
みゆちゃんはみゆちゃんじゃないか…



その場から離れて浴室に入ると
シャワーを軽く浴びてすぐに出た


タンクトップと下着だけ身につけ
鏡を見ながら髪をドライヤーで乾かして
髭をそり、歯を磨く


最後にワックスで軽く髪型を整えると手を洗って拭き、ワイシャツを着た


ボタンを留めながらまた寝室に戻って
クローゼットから昨日とは違うスーツを出し、きちっと着るとその上にコートを羽織る


朝飯は食べないまま

よれたワイシャツと皺になったズボン
ついでに昨日ぶら下げたジャケットも、と一緒に持って
反対の手でカバンを抱え部屋から出る

鍵を閉めたことを念入りに確認し、マンションを出た


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