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トクベツ、な想い

第4章 4






マンションから程なくしたところに個人経営しているクリーニング店がある

安くて早いので時々利用させてもらっていた

そこにスーツとワイシャツを預け
いつも通りコンビニに立ち寄って昼を買った










―部署に着くともう待田がいた

こいつはいつも早い



「おっす」


「はよ…」



近寄る俺の気配を感じとってこちらに振り返った待田は、もふもふとパンを頬張っていた

なんだかすごい脱力した



「朝飯っすか」


「おう、朝は抜かない方がいいんだってよ」


「何それ…彼女から言われたの?」


「うん」


「あら妬けちゃう」



俺と同様、朝は食べないのに…

久しぶりの彼女におノロケ全開ですか…


いいけどさ、いいけどさ…


ふざけあって笑うけどやっぱり嫉妬心は沸き上がってしまうもので…

俺のデスクに座ると待田を背に
今日すでに3回目のため息がこぼれた










―午後、俺は用があってEA部に足を運んだ

誰に言ってもいい用だったので、観葉植物が並んでいる側で近場の人にでもと中を覗いていると

それに気付いた女の子が俺の側へ寄ってきた



「あ、これ」


「松本くんですか?」


「へ?」



ニコニコした顔で言葉を遮られた



「…あ、じゃ松本くんお願い」


「はい」



君でも良かったんだけどなぁ…


たたたっと潤に駆け寄っていった
なんとも嬉しそうに、潤も微笑みながら話している

なんか悲しくなった

ん?いやいや、悲しくなんてない


すぐに潤が駆け寄ってくる



「昨日はありがとうございました!
えと、用って言うのは…?」


「こちらこそ
今プロジェクトの為のこういう企画案立ててるんだけどさ、ちょっと情報が足りないんだ
いい資料あったら貸してくんないかな?」



紙を何枚か見せると数秒考えてからその場にいるように言われる

潤が自分のデスクに戻って
そこから資料を持つとコピーをしだしていた


あ…使ってたんかな…悪いことした


コピーを済ませ小走りに戻ってくる



「たぶんこれ、役に立つと思います」


「あ、でも…使ってたんだろ?」


「1部だけ見てたとこがあって、そこをコピーとったんで
これあれば大丈夫ですから」



その心遣いに感動した…
ニカッと笑う笑顔が眩しい

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