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トクベツ、な想い

第6章 6







昨日は久しぶりに東京に雪が降った

3月になっているというのに最近の気候は異常だ

暖かかったのにまた寒くなって

きっとそのせいもある










―やけに熱い布団の中に耐えられず目を覚ました朝



「あつ……」



布団を体から少しずらした時漏れた自分の声がガラガラだった

一瞬タバコの吸いすぎかなと思ったが
起こそうとする体も重い


あれ…これはもしかして


怠い体をなんとか上半身だけ起こし
すぐ横のテーブルランプが置いてあるサイドテーブルの引き出しから体温計を出した


脇に挟んで数秒、ピピピと音を上げる



「うわ…38℃…」



久しぶりの風邪だった



「…薬あったっけ…氷枕も…」



ベッドを抜けて歩きだすも、視線がぼんやりとしていて…目の前が揺れる

少し頭痛もして体の節々も痛い

久々の体調の悪さに戸惑った



壁に手をついてゆっくり冷蔵庫に向かった
中を探るが、氷枕はなく氷も作っていなかった

これでいいかと水のペットボトルを抜き出す


リビングの棚に常備薬があった気がして
さっと見渡したが結局それらしきものはなかった

しょうがないと水だけ持ってベッドに戻った



「とりあえず会社に連絡しないと…」



iPhoneの電話帳で部長の表示を出し、酷い声で休みを知らせる電話を手短にした


水を少し飲んで
仰向けにベッドへ寝転がると、ボトルを額に付けながらとりあえず寝ることにした










―昼頃に自分の咳で一旦目を覚ました

状態が変わった様子はない


当たり前だ、寝ただけだし…


だが食べるものは買ってないからないし
体を動かしたくなかったので、また目を閉じた



次に瞼を上げると3時過ぎだった




体の感覚からして変わってないだろうが一応体温を計ってみた

表示された数字にため息が出る



「…ダメだな…やっぱ薬飲まなきゃ…」



でも買いに行く気力も…

行ってくれる人もいないし…



みゆちゃん…



そう脳裏を横切ったが
ここを知らないし、こんなところを見られたくもないしとすぐに頭から消した



ぼーっとぬるくなった半分程の水を飲んで、熱が治まるのを待つ



もう十分寝てしまったから眠くもなく…


ただそのまま時間が過ぎていった


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