トクベツ、な想い
第10章 10
長い時間
キスだけをしていた
お互いに勃っていたけど
そんなのどうでもよくて
両想いのキスが堪んなくて
俺も潤につられて途中から涙が溢れ出た
大の大人が2人、頬にいくつも筋を作りながら
明け方までそれは止まなかった
―「……ん……おも…」
何かに胸が圧迫されている
その感覚に我慢できずまだ重たい瞼を上げた
知らぬ間に寝てしまったのか
しかもソファだった
頭を横に振って背もたれを見た時
自分の部屋のソファじゃないことが分かって
なんだっけと寝起きで回らない頭のネジを少しずつ動かした
そもそも仰向けで寝ているのに何が苦しいのか
とりあえず確認と頭を胸元に向ける
「……あ……そうだった…」
視線の先には、俺の胸板にうつ伏せで眠っている潤の頭があった
どういう感じでここまで来たのかちゃんとは覚えてないけど
確か深夜辺りから日が出るくらいまでずっと…
その先を思い出して急速に恥ずかしくなる
「…潤と…キス……しちゃっ…たな…」
いや、前もしたけど…
でもあれは急にだったし
潤が俺を好きってのを知らなかったし…
それでも… 潤を想う気持ちが
混乱する俺の気持ちを押し退けて受け入れる形になったけど…
今回は違う
しっかりお互いを求めあってした
それはあの時の数倍…響くものがあって
心が、気持ち良かった
「…ん」
俺の上で潤の顔が方向を変える
起きてはいない様子に
よくこんな格好で寝てられるなと感心してしまった
2人掛けの、寝るには狭いソファで
俺の開いている足の間に体を埋めて…
いくら俺の片足が下に落ちているとはいえ
スペースなど差ほどない
丸めた足はきっと起きれば痺れ出すと思う
起こした方がいいのか…
でも…このままでいたい気もする
寝返った潤の髪の毛は一部だけ跳ねていて
何気なくそれを片手で触った
次第に頭を撫でるように手を動かしていた
普通とは違う両想い
まさか自分が…
現実に起こっていることに正直驚く
でも不思議だ
この光景を嬉しいと思える
今の目線では頭しか見えないから
体を動かさないように自分の頭を横にそろそろずらしていき、そっと潤の顔を覗き込んだ