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トクベツ、な想い

第10章 10






規則正しく寝息を漏らして安心しきったような寝顔

俺のワイシャツを緩く握る手


眺めながらその間もずっと頭を撫でて思わず微笑んだ



「……んぅ…」


「お…潤…?起きた?」



もそもそと動き細く目が開けられた

不機嫌そうな表情で頭だけむくりと上げ辺りを見回している


寝惚けてんのかな



「…潤?」


「………あ…」



やっと目が合って瞼がしっかり開かれる

俺同様、思い出しているのだろう
顔が赤みを帯びていく



「お…はよう…ござ、ます」


「ん、おはよ」


「…あ…俺…僕…シャワー…」



話しながら体を起き上がらせ
痛そうに足を擦って浴室に歩いて行ってしまった

あからさまな動揺がおかしくて
浴室のドアが閉まった瞬間、笑ってしまった


俺の方が冷静って何


なんか面白くて


きっと難しく考えていたことが頭から抜けて
スッキリしたんだ

自分の気持ちを理解して、行動を理解して
もう悩む必要はなくなったから…


もう友達じゃない

俺達は…恋人同士


言葉の響きにまだ慣れなくて照れくさくて
上半身を起こし両手で頭を掻き回す


髪をボサボサにして一旦止まり
部屋の時計を見ると昼過ぎだった

おもむろにテーブルに目を向け昨日の残骸達を片付け始める


いつもやってもらってるしな…



「えーっと…とりあえず、洗うか…」



買ってきた袋の中に空のトレイや缶を入れ
グラスと皿を持ちキッチンのシンクに置いた


洗っている最中に浴室のドアが開く

首にタオルを掛け、まだ濡れた髪を揺らす姿はまさに


水も滴るいい男…


俺に気付いた潤が何してんの?というような顔で近寄ってきた



「…いいのに」


「いや、たまにはやらせてくれ」


「…不器用だから心配だな」


「地味に傷付くわ」



それに潤は笑って俺の横で一緒に片付けをしだした

やっと認めてくれたかのような態度に安堵の表情を浮かべる

もう敬語は完全に使わなくなって
あれはここ、それはここ、と物の置場所を教えてくれる

潤の部屋を知っていく


こんな些細なことに嬉しさを感じる



「…何笑ってんの」


「へ…笑ってる?」


「すごい変な顔してるよ」


「イケメンだろ?」


「髪ボッサボサでダサいから」


「んだとー!?」



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