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家政婦の水戸

第2章 長女、恵実と水戸さん

 俺は山野羊。高校生と中学生の二人の娘を持つ、お父さんだ。


 俺は、昔は悪さばっかりして、人には迷惑かけたが、今は真面目に働くサラリーマンだ。


 だが、俺の血を受け継いだのか、長女の恵実が問題有りでして……。


「お父さん、お金ちょうだい」と月はじめになってから、こんなことを言い出す。


「毎月、ちゃんと小遣いやってるだろ」


「月1万じゃ、足んないんだよぉ、せめてこれだけ欲しい」


 手をパーにして、突き出す。


 5千円じゃないことは、わかる。


 だが、それでは水戸さんと同じではないか。


「バカやろう、そんなに出せるか!! 欲しかったらバイトしろ、バイト!」


 本当に、恵実はなにもしない。


 家事も自分ではやろうとせず、妹の紗知に「やっといて」だけ言って、遊びにいく。


 紗知は今年は大事な受験だ。そんなことばかりは、させられない。


 だから、家政婦をお願いした。


 家政婦を頼んだ理由がもうひとつある。


 俺の稼ぎで高い金払って、家政婦を雇ったんだ。お前がしてくれたら、こんな出費しなくてよかったんだと……それを教えたいがためだ。


 だが、こいつは小遣い5万請求してきやがった。


 こいつは、俺に似た悪魔だ。



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