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家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

「これが、本当の水戸奈津子の姿ですよ」


 それを言ったのは、つばきだった。


「え、あんた、なにか知ってるの?」と大神が聞いた。


「私も聞いたことあるだけで、よくは知らないけど……実は水戸さん……20年前に一度亡くなっていると聞きました。しかし、なにかの思いがあって、また甦ったそうです。その当時、35歳だったそうです」


「なんてこった……その時の顔か……」


 羊は水戸さんの顔を、覗きこんだ。


 とても綺麗な顔をしていた。


 だが、その肉体は……死んでいた。


 大神とつばき、そして羊の泣き叫ぶ声が、響き渡った。



 火は完全に消え、警察の現場検証と事情聴取が続くなか、水戸さんは遺体として、病院に運ばれた。


 だが、その遺体は、自然消滅してしまい、崩れた骨だけが残った。



 その話は、担当の耳にも入った。


「1日早かったか。明日まで働かせてあげたかったが……まあ、後は、メカ水戸がちゃんとやってくれるだろう。あれでも、優良家政婦メカだからな」


 ふ〜っと、ため息をついたあと、1枚の図面を見た。


「ロケットタイプの、万引き防犯用の連続カラー弾(黒)は、家政婦にいらないだろ」



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