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家政婦の水戸

第12章 さようなら水戸さん

「ちょっと、みんな見て!!」


 大神が水戸さんを指差した。


 全身、黒焦げになり、胸に矢が突き刺さった水戸さんの体が、キラキラと光だした。


 胸に刺さった矢は、ズブズブと奥に入りこむ。


「おい、大変だ!! 矢が抜けなくなるぞ」と救急隊員が、矢を握る。だが、固くて抜けそうにない。


「どういうことだ?」


 隊員の問いに誰も答えることが出来ない。


 やがて、矢がすべて埋まると、ポロポロと焦げた皮膚が剥がれ落ちてきた。


 足から、腕、お腹、そして、顔と、ゆっくりだが、中の肌が顔を出す。


 周りは見ていることしか出来ず、異様な現象に、横たわる水戸さんから距離をとるようになった。


 衣類は燃えてしまい、外側の焦げた肌だけが落ち、綺麗な肌が露になった。


「おっと……」


 羊は、あわてて水戸さんの胸から下に自分の上着をかけた。


 そして、すべての黒い皮膚が、剥がれ落ちた。


 そこにいたのは、見たことのない、水戸さんの姿だった。


「これが……水戸さんか? あの水戸さんとぜんぜん違うじゃないか」



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