ねぇってば
第5章 どうして
キッチンからは手際よく切る音が聞こえる
料理できる人の音
俺はテーブルの下にある1冊のスケッチブックを見つけた
女の子の家だし勝手に見るのはあれだから
許可をとった
1ページ目は黒のペンで紙1面塗りつぶしてあった
次のページも
その次のページも
ただ黒で塗りつぶされていた
しゅうかちゃんがオムライスを持ってきてくれて
2つのスプーンが並ぶ
「ありがとうございます」
「はい」
「あの、これ、なんですか?」
俺はスケッチブックをめくりながら話した
「そのままじゃただの黒です
でも、こうやって…」
しゅうかちゃんの手が俺の手に重なり
そのまま上にあげられる
「うわ、すげぇ…あ、すごいですね」
真っ黒だったはずの紙に
たくさんの星が浮かんできた
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