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君は僕の本当を知らない

第1章 過去と困惑


俺の名前は神崎樹。
市立第三中学二年、剣道部だ。

まぁ、さっきの夢にもあったとおり、俺は男だが男しか愛せないいわゆる同性愛者だ。

さっきの夢は一年と少し前、今の県に引っ越す前日に初めて好きになった1つ上の先輩にどうせ最期だからと思い切って告白した時のものだ。
そのとき俺は小学校六年生の卒業式の翌日で、先輩は中学一年生だった。

まぁ、多感な時期だから、自分とは違う、異質なものに敏感になっていたのだろう。
それを機に、男が男を愛すると言うことはおかしなことだと痛感した俺は女を好きになろうと務めてきた。

まぁ、幸福なことにも俺は結構きれいな顔をしている。
おまけに成績優秀で運動もできるし身長もかなり伸びてきた。

そんなわけで、俺は何もしなくても、モテるようだ。

だから、去年のバレンタインは大変だった。
登校すると机の上が手作りチョコやちょっとお高いチョコなどでいっぱいになっていて教室を間違えたかと思った。

俺は男のわりには甘いものを好むけど、顔も知らないような人の手作りのお菓子なんて、食べる気にもなれなかったから、申し訳ないけど、手作りのものは全部捨てた。

告白されながらチョコを渡されたりもしたが、どんなにかわいらしい女の子でも好きになれそうになく、むしろその子が堂々と男に告白できることを羨ましく思っていた。

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